子供との面会交流

離婚によって夫婦関係が解消されても、親子関係まで解消されるわけではありません。

子供の親である以上、子供と面会して交流する(一緒に遊んだり、電話やメールを交わしたり等)権利があります。そして子供にも、親と面会して交流する権利があります。

面会交流は、親子の自然な感情に基づくもので、離婚後も子供が両親の愛情を確認できる大切な機会でもあります。

親の都合や感情を優先させず、離れて暮らす親と子供が安心して交流できるよう、父と母で協力することが大切です。

なお、親との面会交流が子供の福祉と利益に反するときや、子供が会うことを嫌がっているような場合は、面会は制限されることになります。

しかしながら、子供の健全な成長のために必要とされる親子の面会交流ですが、なかなかうまく行かない現実も多いようです。

厚生労働省による「平成23年度全国母子世帯等調査結果報告」によると、面会交流の「取り決めをしている」のは、母子世帯で23.4 %、父子世帯で16.3%となっています。

面会交流を一度も行ったことがない世帯は、母子世帯で50.8%、父子世帯だと41%となっており、更に、現在も面会交流を続けている世帯でみると、母子世帯で27.7%、父子世帯で37.4%との数字になっています。

この調査結果からみると、離婚後、親と子が円滑に面会交流できることは少ないと言わざるを得ません。

とはいえ、親にとっても子供にとっても大切な権利です。感情やわだかまりがあったとしても、子供のために父母がきちんと話し合い協力することが大切ではないでしょうか。

面会交流の方法

親と子の面会交流の方法に決まった方法や形式はありませんが、月に1回くらいの頻度で、場所を指定して、遊んだり食事を一緒にするケースが多いようです。

特に決まりがあるわけではないので、それぞれの事情や子供の年齢などを考慮して、会う頻度や時間などを決めると良いでしょう。
また、とくに回数や時間は決めずに、父母でその都度毎に連絡を取り合って決めるというやり方もあります。

なお、離婚後に面会交流に関するトラブルを避けるためにも、取り決めた内容は、離婚協議書や公正証書などの文書にした方が良いでしょう。

なかには、面会交流についての取り決めをしたにも関わらず、子供と同居している親が、不当に子供と会わせない場合もあります。

このような場合は、家庭裁判所に「面会交流の調停」を申し立てることができます。調停で面会交流の取り決めをしたにも関わらず、それでも面会交流が実現されない場合は、家庭裁判所に申し立てて履行勧告をしてもらうことができます。

履行勧告は裁判所からの指導なので、相手も応じる可能性が高くなりますが、裁判所の指導に強制力はないので、相手が無視してしまえば、それまでです。

履行勧告でも相手が応じなければ、面会を1回拒むごとに金銭を相手に支払わせるといった間接強制の方法を検討することになります。

別居時の面会交流

夫婦の都合で別居することになった場合でも、子供の親である以上、子供と面会して交流する権利があり、子供にも親と面会交流する権利は当然にあります。

別居の場合でも、離れて暮らすことになった親と子の面会交流をどうすべきか、どうすることが子供のために一番良いのかを、夫婦で考える必要があります。

どちらかが子供を連れて出て行ったとしても、出て行かれた方の親は子供に会う権利がありますので、家庭裁判所に「面会交流の調停」を申し立てることも可能です。

片親引き離し症候群(PAS)について

片親引き離し症候群(PAS)とは、簡単に言うと、子供と一緒に暮らす親が、子供に対して、もう一方の親の恨みや不満、誹謗中傷を子供に吹きこむことで、子供がもう一方の親を嫌うようになってしまうことです。

片親引き離し症候群(かたおやひきはなししょうこうぐん、英:Parental Alienation Syndrome、略称PAS)とは、1980年代初めにリチャード・A・ガードナーによって提唱された用語で、両親の離婚や別居などの原因により、子供を監護している方の親(監護親)が、もう一方の親(非監護親)に対する誹謗や中傷、悪口などマイナスなイメージを子供に吹き込むことでマインドコントロールや洗脳を行い、子供を他方の親から引き離すようし向け、結果として正当な理由もなく片親に会えなくさせている状況を指す。「洗脳虐待」と訳されることもある。

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

片親引き離し症候群については、法学者や精神科医から批判の声も多いようです。
しかし、日本の単独親権制度の下では、子供との面会交流がなかなか実現しにくい大きな要因のひとつとも考えられます。

離婚する状況というのは、お互いにいい感情を抱いてはいません。多くの場合、相手に対して怒りや憎しみを感じています。

子供と同居する親が、もう一方の親への怒りや憎しみを子供に対して繰り返し植え付けることで、子供はもう一方の親への愛情を封印し、不安定で屈折した感情を抱えたまま成長していくことになります。

子供は父親も母親も大好きです。ですが、片方の親の誹謗中傷を繰り返し聞かされた子供は、同居する親への遠慮や自分も嫌われて捨てられるのではないかとの怯えや恐怖から、同居する親の顔色を伺い、更には意識の上で同調するようになります。

このような情緒不安定な状態が続くことで、子供は心に大きな傷を負い、子供の成長や将来に悪い影響がでてしまう危険があります。

別居や離婚で、相手に対して激しい怒りや憎しみを感じていたとしても、それは子供には全く関係のないことです。子供に対して、もう一方の親の悪口を聞かせるのは、子供の成長のためにも良くありません

子供にとって親はかけがえのないものです。

離婚の原因がDVや虐待といったものではなく、子供に対して暴力をふるったり暴言を吐いたりといった心配がないのであれば、一定のルールを決めたうえで、別居している親と子供を会わせるよう協力し合うべきではないでしょうか。